似合わない洋服は捨てました

気まぐれに気の向くままに

訃報

その方は、ここらではとても有名な整体の先生をしていらしたとかで
周りのみんなから「先生」と呼ばれていました。

毎日のように通ってくださっていた先生はいつも優しくて(時々恐くて)
「僕はね、このお店がなくなったら困るんだよ」って
「もう少しお客さん増えるといいなぁ」ってうちのお店を気づかって優しく声をかけてくださっていました。

去年の夏、いつもは、真っ赤か青のポロシャツ姿で来られていたのに
珍しく白いシャツの胸ポケットに黒いネクタイを差していらっしゃったので
「どなたかのお参りされたのですか?」と声をかけたら
「僕の後輩がね、亡くなったんだよ。もう一緒に戦争に行った仲間はみな亡くなってしまって先生1人になってしまった」と少し寂しそうに話してくれました。

今年の冬にしばらくお見えになられないのでチョコレートとお手紙を送らせていただいたら
娘さんが「肺炎で入院しているのです」とお返しを持って来てくださいました。

今日、もう1人の娘さんがお見えになられて
4月に他界した旨を知らせてくださいました。

「いつもね、家に居ない時はこちらに遊びに行ってたんです。
 迎えに来てって電話もらってね。でも、もう帰ってこないんでよね。」
そう話す娘さんはとても寂しそうで
「ここの店長さんには良くしてもらってるから」と家族のみなさんに話していらしたそうです。

先生が来られなくなってから、他のお客様がみな心配してらして
「先生最近みらんな」とか声をかけてくださった方には
「入院してらっしゃるそうですけど、春になったらまた元気に来てくださいますよ」って話してたんですね。
春が過ぎるころには「もう少し暖かくなればまた来てくださいますよ」って。

「そうやな、また来るわな」「来ますよ、絶対に」そう話してたんですよね。


小さな小さなパチンコ屋さんの話しです。